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モツとワインのマリアージュの探求

私はことのほか、臓物料理を愛します。モツ焼き屋に仕事帰りに立ち寄って、ハツやコブクロをつまみながら焼酎を一杯……というのは、たまらない至福のときなのです。
そんなとき、いつも思うのは、日本のモツ焼き屋でおいしいワインが飲めたらどんなに幸せだろう、と。しかし、残念ながらそうした店は数多くありません。仕方がないので、家で臓物料理を作って、ワインと楽しむこともしばしば。今回ご紹介する料理は、そのうちの一つです。
フランスに暮らしていたころも、モツ焼きの禁断症状がしばしば出ることがありました。フランスにはいわゆる「モツ焼き」はありませんが、豚、仔牛などの臓物を使った料理には事欠かず、禁断症状を抑えるに足りる特効薬となっていたわけです。さすがにワインの国・フランスで食されるものだけあって、そのクセの強い香りと味は、ワインとしっかりマリアージュします。

さて、リヨン(写真右)を訪れたときのこと。リヨンとはフランス第二の都市として、また、美食の都として知られています。フランスの中心に位置し、古くから交通の要衝として栄えただけあって、周辺エリアはもちろん、フランス中からさまざまな食材が集まってきたからでしょう。右の写真のように、旧市街、新市街ともに「ブション」と呼ばれる小さなレストランが軒を連ねます。
「美食の都」と張り切って、何を食べようと夢想していたのですが、訪れたのは真夏。フランスといえど、7月、8月には35度を超えることもあります。その日はまさにそんな日で、体力も衰え、あまり食欲がありません。

そんなとき、「ああ、臓物料理を食べよう」と思いつきました。リヨンの名物といえば、ブレス産の鶏、シャロレの牛など。しかし、隠れた名物の一つに、臓物料理があるのです。
市内のレストラン、「La Tassee」に入ると、ありました、臓物料理。そこではあっさりとしたトリッパとたまねぎのソテーを食べ、なんだか元気を取り戻した気分でした。きっと臓物は、私にとってのソウルフードなのでしょう。

スパイスを使ってあっさり炒めた臓物ももちろんおいしいのですが、紹介する料理はトマトを使って、よりさっぱりと食べやすくしています。モツとワインを愛する「仲間」にお送りする一品です。





トリッパ(牛の胃袋)300グラム
にんにく 2片
たまねぎ 1/2個
パンチェッタ 100グラム
ひよこ豆(水煮) 100グラム
ホールトマト 150cc
チキンコンソメ 600cc
白ワイン 50cc
オリーブオイル 大さじ1
バター 適量
塩・胡椒 適量


牛の胃袋は、3種類ありハチノス、センマイ、ミノと呼ばれます。
トリッパにはハチノスと呼ばれる胃を使うのが一般的です。


今回は内臓料理で少しくせのある料理ですが、トマトの酸味やにんにくの風味を活かした、ややあっさりとした料理です。生き生きとした果実味溢れるブルゴーニュの赤ととても相性がよいです。今回合わせたのは、ブシャール・ペール・エ・フィス社の「ランファン・ジェジュ」。その名の通り、「幼子キリスト」がラベルに描かれています。果実味に溢れ、力強くなおかつ繊細なその味わいは、臭み、酸味などさまざまな顔を持つこの料理とよく合ったように思います。


1、トリッパはよく水で洗い、熱湯で15分ぐらい茹でる。

2、お湯から取り出したトリッパは流水でよく洗い、一口大に切り分け、
チキンコンソメで30分ぐらい煮込み、トリッパとコンソメを分けておく。

3、にんにく、たまねぎはスライスする。パンチェッタ一口大に切る。

4、フライパンを熱し、オリーブオイルを引き、3の材料と2のトリッパを炒める。

5、さらに、ホールトマト、ひよこ豆、白ワイン、2で分けておいたコンソメをフライパンに入れ10分ぐらい煮込む。

6、最後に塩・胡椒で味を整えて出来上がり。
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