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船乗りたちのカンタン貝料理

フランスをはじめて旅したとき、カフェで隣のテーブルを見て驚いたことがあります。直径30センチはあろうというボールに、ムール貝とフライドポテトが山と盛られているではありませんか。これは何人前だろうか、と見ていると、その人の連れはサラダを食べており、どうやら一人前のようです。
食べ方もまた、面白い。片手にすでに中身を食べ終わったムールを持ち、もう片方の手にまだ食べていない中身のあるムールを持つ。そして、食べ終わったムールをハサミのようにして、もう片方の手にあるムールの中身をはさんで口に運ぶのです。その繰り返しで、山盛りのボールはあっという間に空になります。フランスで、直接手で食べることが許される、数少ない料理の一つなのです。

フランス全土で、このようにしてムール貝は食べられています(チェーン店で「ムール専門店」があるほど!)が、もっとも一般的なのは、「ムール・マリニエール(ムール貝船乗り風)」です。これは、パリの北西、大西洋に面したブルターニュ、ノルマンディー地方の名物料理(写真は、ブルターニュの玄関口、レンヌの市場。大西洋に面した地方だけに、魚介類が豊富でした)。味付けは、エシャロット、にんにく、バター、白ワインととてもシンプルなもの。本当の起源は知りませんが、船乗りたちが船のうえでささっと調理して食べた料理だと、容易に予想できます。

ムール貝は、とても繁殖力が強く、日本の近海でも獲れます。これも本当かウソかは知りませんが、ペリーが下田に来航したときに、その船底についていたムール貝が日本の海に繁殖したのがその起源と言われています。
ただし、獲るタイミングの問題なのか、それとも種の微妙な違いなのか、日本のムール貝はフランスのそれに比べて大振り。貝の内臓の部分が多いせいか、どうも生臭さを感じてしまいます。
小ぶりのいいムールが手に入らないとき、ハマグリや大振りのアサリを、まったく同じ方法で調理します。それはそれで、ゴハンとも合うお勧めの一品です。





ムール貝 500〜600グラム
ベルギーエシャロット 1個
にんにく 1片
パセリ 1枝
バター 20グラム
白ワイン 150cc
塩・胡椒 適量
ジャガイモ 大3個
インゲン 100グラム
レモン1/4個
油 適量
片栗粉 適量


作り方4での味付けは、
ムール貝自体に塩味が付いていることを考慮して味見をしながら整える。


貝類にはヨード臭(海苔など海草の香りと思ってください)などの独特の風味があるので、海岸近くの石灰質を多く含んだ土壌から作られた、磯のニュアンスを感じられる辛口の白ワインとの相性がいいです。代表的なものとして、ロワール河が海へと注ぐ河口付近のナントというところで作られる「ミュスカデ」というワインがお勧めです。
写真は、「ミュスカデ・セーヴル・エメーヌ」というワインで、酸味が若々しく軽快な白ワインです。
今回は、料理で使ったワインにも同じワインを使っています。そうすることで、料理との相性がよりよくなると言われています。


1、ムール貝は良く洗い汚れを取って、薄い塩水につけておく。

2、エシャロットとにんにくはみじん切りにしてバターを入れたフライパンでいためる。

3、2に水気をきったムール貝をいれ、さらに白ワインを注ぐ。フライパンにふたをしてムール貝が開くまで煮る。
 
4、ムール貝が開いてきたら塩・胡椒で味を整え、みじん切りにしたパセリをふりかけて出来上がり。

5、添え物として、拍子切りにしたジャガイモに片栗粉を付けて油で揚げたフライドポテトと、
素揚げにしたインゲン、レモン、パセリを飾る。
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